提言など
2025/07/24
財務大臣宛「独立行政法人・国立大学法人等の運営費交付金拡充等を求める要請書」

2025年7月24日

財務大臣 加藤 勝信 殿

全国大学高専教職員組合 中央執行委員長 笹倉 万里子   
筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会 議長 村田 義則
日本国家公務員労働組合連合会 中央執行委員長 浅野 龍一

独立行政法人・国立大学法人等の運営費交付金拡充等を求める要請書

 独立行政法人(中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人)・国立大学法人等は、医療・教育・研究開発をはじめとして多岐にわたる業務を通じて国民生活の安定及び社会経済の健全な発展、高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を支えています。
 これら法人の運営費交付金は、一部の新規業務や政府の重要施策にもとづく業務には重点配分されてはいるものの、経常・基盤業務にかかる予算は削減され続け、多くの法人でその運営に支障をきたしている実態にあります。近年頻発する大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症などの対応に象徴されるように、人員不足による体制の脆弱性が浮き彫りになりましたが、十分な対応がとられていません。多くの法人で、運営費交付金削減への対応として競争的資金獲得に尽力していますが、使途が限られるため、現有施設の老朽化対策や、基礎研究などが実施できない事例も発生しています。
 各法人の特性を勘案しない業務運営効率化目標・効率化係数の設定による管理費などの経費削減が続けられていることにくわえて、昨今の原油・原材料価格の高騰と円安の影響等も法人運営をさらに困難にしています。
 一部の法人で定年延長制度が導入されるなど、高齢期雇用の進展がある一方で、人権費枠の増大が難しいため、新規採用者の抑制でしのいでいる法人も見受けられます。このように正規職員・教員が採用できず、非正規職員・教員でその場をしのぐ法人も増加し、業務や研究の質や継続性が保てなくなっている実情もあります。
 このように、運営費交付金削減の弊害が顕著に現れてきています。国民の安心・安全、教育を守る独立行政法人・国立大学法人等の役割が十全に果たすためにも、運営費交付金の拡充が必要です。
 つきましては、貴職に対し、運営費交付金を拡充するとともに、下記事項の実現にむけて誠意ある対応を求めます。

1.国民の安心・安全を守り、経済・産業活動の基盤を支える独立行政法人等が行う業務の維持・拡充をはかること。
2.国立大学法人等の高等教育、学術研究、附属病院での医療の質の向上を図り、国民の教育を受ける権利を保障すること。
3.物価・燃料費高騰に対応できるだけの運営費交付金を確保すること。とりわけ、国立大学法
人・国立研究開発法人については価格高騰に対応できる研究費・光熱費を充当すること。
4.優秀な人材の流出防止と獲得や各法人の業務量に応じた要員確保などにむけて、総人権費の増額を可能とし、そのために必要な運営費交付金を確保すること。
5.運営費交付金は使途を特定しない渡し切りの基盤経費とし、政府による評価と結びつけることをやめること。
6.再雇用・定年年齢の引き上げなどの高年齢者雇用制度を改善・充実させること。高齢期雇用にかかる人件費の増大によって、新規採用抑制などが生じないよう運営費交付金を十全に措置すること。
7.有期雇用研究者をはじめ、有期雇用職員の無期転換権を保障し、雇用の安定をはかること。また、 パートタイム・有期雇用労働法に基づく均等・均衡待遇を実現すること。

以上

全国大学高専教職員組合