提言など
2024年11月1日
厚生労働大臣 殿
国民のいのちと健康を守るため
すべてのケア労働者の持続的な賃上げや人員配置増を求める要請書
全国大学高専教職員組合 中央執行委員長 笹倉万里子
日本自治体労働組合総連合 中央執行委員長 桜井 眞吾
日本医療労働組合連合会 中央執行委員長 佐々木悦子
政府は、看護師や介護職など社会基盤を支える労働者が、その役割の重要性に比して賃金水準が低い状況であるとし、ケア労働者の賃上げ事業に踏み出し、2024年の診療報酬・介護報酬改定で賃上げに特化した「ベースアップ評価料」や「新介護加算」を盛り込みました。
しかし「2.5%のベースアップ目標」としていたものの、実際の医療機関や介護施設のベースアップ水準は、日本医労連加盟の医療機関や介護施設で1.44%(8/20時点98組合平均)に留まり、その他の組合では、手当での支給(平均6533円)が135組合、ベースアップも手当も無い定期昇給のみの回答が106組合もあり、他産業の24年春闘賃上げ平均が5.0%程度であるのに対し、あまりにも低い賃上げで終わっています。低水準回答の背景には、ベア評価料や新介護加算では対象外となる従事者もある上に、病院と診療所や、介護施設と在宅介護事業所の間で報酬が大きく異なる内容であるため、複数の施設を経営する医療や介護の法人では、従事者間に不平等を持ち込むことになるとして、賃上げ回答を見送ることにもつながっています。政府がケア労働者の賃上げの必要性を理解しているのであれば、すべてのケア労働者が差別なく処遇改善につながる施策にするべきです。また、900万人を超える医療・介護労働者の賃上げは地域経済の好循環にも結び付く効果が見込めるものです。その賃上げのためには、医療・介護施設への経済的援助の拡充も必要であり、診療報酬・介護報酬の抜本的な見直しと同時に患者・利用者負担軽減策も実施するべきです。
私たちは差別と分断を許さず、政府の責任ですべてのケア労働者の処遇改善と医療・介護事業の安定的な維持発展のために、以下要請し、実施を強く求めるものです。
【要請事項】
1.医療や介護現場で働くすべてのケア労働者の賃上げと人員配置増につなげるよう、政府の責任において、全額公費による追加の賃上げ支援策を実行すること。
2.すべての医療機関と介護事業所を対象に、物価高騰や人件費増を補えるだけの診療報酬と介護報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を実施すること。
以上
