提言など
2024/07/23
独立行政法人・国立大学法人等の運営費交付金拡充等を財務省に要請(4団体合同)

2024年7月23日

財務大臣  鈴 木 俊 一  殿

全国大学高専教職員組合   中央執行委員長 笹倉万里子
筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会 議長  小林功
特殊法人等労働組合連絡協議会      議長 矢野達彦
日本国家公務員労働組合連合会 中央執行委員長 九後健治

 独立行政法人(中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人)・国立大学法人等の運営費交付金は、一部の新規業務や政府の重要施策にもとづく業務には重点配分されてはいるものの、経常・基盤業務の予算は削減され続けています。独立行政法人は、医療・研究開発・教育などをはじめとして多岐にわたる業務を通じて国民の安心・安全を守り、産業活動の基盤を支えていますが、運営費交付金の削減により多くの法人で運営に支障をきたしています。とりわけ、近年の大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症の経験をとおして、多くの機構・研究所などで人員不足による体制の脆弱性が浮き彫りになりました。加えて、運営費交付金削減の代替とされる競争的資金は、現有施設の維持・管理・更新の用途にはそぐわないため、建築後40年以上経過し老朽化が進んだ設備を修繕することができないという事例も発生しています。また、法人の特性を勘案しない業務運営効率化目標・効率化係数の設定による管理費などの経費削減が掲げられており、組織や業務の運営に支障をきたしている実態もあります。更に昨今の原油・原材料価格の高騰と円安・物価高の影響等により、研究機関においては思うように研究に使用する資材が調達できないなど、研究に更なる支障をきたしています。

 また、行革推進法は2006年度からの5年間、独立行政法人・国立大学法人等にも人件費削減を課し、いまも人件費削減を求めています。さらに、定年延長制度の開始に伴った人件費の増大により、新規採用者の抑制が行われています。これらによって、正規職員・教員が採用できず、非正規職員・教員でその場をしのぐ法人が増え、業務や研究の質や継続性が保てなくなっています。

このことにより、研究活動のみならず教育活動まで維持できなくなりつつあるなどの問題が生じており、基盤的研究費が安定的に措置されることの重要性と運営費交付金の削減による研究資金の不足が経常的な研究活動を阻害していることへの危惧が顕在化しています。

 更に、これまで国の研究機関として感染病などへの対応をおこなってきた国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが合併し、2025年4月から「特殊法人国立健康危機管理研究機構」として設立されます。国立健康危機管理研究機構の設立にあたって、これまで厚労省当局に対し、研究に係る予算等を十分に確保するよう要請を行ってきましたが、これまでの研究が停滞することがないような十分な予算が確保されるかどうかが気がかりな状態となっています。

 国民生活の安定、社会経済の健全な発展、社会の進歩と福祉の向上のためには、独立行政法人・国立大学法人等の運営費交付金の拡充が必要です。

 つきましては、貴職に対し、運営費交付金を拡充し、下記事項が実現するよう要請します。


1.国民の安心・安全を守り、経済・産業活動の基盤を支える独立行政法人等が行う業務の維持・拡充をはかること。とりわけ、安定した効果的な研究遂行のため、持続的かつ十分な基盤的研究費を確保すること。

2.物価・燃料費高騰に対応できるだけの光熱費を確保すること。更に、研究材料費の高騰に対応できる研究費を確保すること。

3.優秀な人材の流出防止と確保が実現できる運営費交付金の拡充を行うこと。

4.運営費交付金は使途を特定しない渡し切りの基盤経費とし、政府による評価と結びつけることをやめること。

5.過重労働改善をはじめ、法人の必要な業務に応じた増員を伴う総人件費の増額を可能とすること。

6.国立大学法人等の高等教育、学術研究、附属病院での医療の質の向上を図り、国民の教育を受ける権利を保障すること。

7.再雇用・定年年齢の引き上げなどの高年齢者雇用制度を改善・充実させること。また、雇用を延長する際に増大する人件費については、新規採用者の抑制が生じないよう運営費交付金を別途手当すること。

8.有期雇用研究者をはじめ、非正規職員の無期転換権を保障し、雇用の安定をはかること。国立大学法人・研究開発法人等における研究者が労働契約法の10年特例で雇止めになることなく安定して研究を継続できるようにすること。

9. パートタイム・有期雇用労働法に基づく均等待遇を実現すること。

以上

4団体共同による運営費交付金拡充等を求める財務省要請(7月23日)の報告(要ログイン)

全国大学高専教職員組合